相思相愛マリアージュ（前）～君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です～

内診で彼女の妊娠と出血の有無が確かめた。

内診を終え、超音波断層装置で赤ちゃんの様子を伺う。

診察台に仰向けで横たわる夫人。
井口さんは衣服を捲り、お腹に検査用のゼリーを塗っておいてくれた。

「準備は出来ています。槇村先生」
「ありがとう」

俺はT字型のプローブにも少し検査用のゼリーを塗って、そっとお腹の上に置き、滑らせて彼女の胎内をモニターでチェックした。

彼女も俺と同じくモニターで自分の胎内を不思議そうに見ていた。

小さな白い影が動いている。

彼女の子宮の中には高屋副社長の子が宿っていた。

でも、その生命は小さく、心音の確認も取れない週数。

まだ、五週目の大きさ。


俺はプローブを彼女のお腹の上で動かし、赤ちゃんの種となる胎嚢は確認した。
胎嚢、胎芽、心拍の三つが確認できて、初めて妊娠が確定する。