相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
私は奏弥さんの膝の上に向かい合わせになるよう跨った。

「遥、積極的…」

「だって…何ヵ月振りだと思ってるの?」
「三ヵ月振りかな…」
「四ヵ月振りよ…」

「そっか…」

彼も私に迫られ、ようやく本能のスイッチを入れた。
水音の混じったキスを交わす。

私にとって彼は二人目の交際相手。でも、彼が初めてだった。

大病を患い、生殖機能を失った私は医者を志し、一生独身でいようと考えていた。
その意思を曲げたのが目の前の奏弥さん。

産科医なんて、一番お近づきなりたくない科の医師だった彼。

それでも、彼は私に猛アプローチして来た。

何度フッても、しつこいぐらい交際を迫り、ストーカー状態だった。
二人の攻防は一年近く続いた。私の方が彼の執念に折れた形で交際が始まった。
そして、彼の医師として心意気に惹かれ、私も彼の片側に居られる新生児科医になった。

夫婦と言うよりも、医者仲間と言った方が私達の関係はしっくりするかもしれない。
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