相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
あの夜以来、何となく顔を合わせ辛かった。

「あれ?どうしたの?遥先生」

奏弥さんに声を掛けようとしない私を見て、上村さんは首を傾げる。

「喧嘩したの?」
「まぁ、そう言うトコ…」
私は奏弥さんが立ち去るのを待って居た。

「遥先生?」

院長令息の伊集院和寿先生が私に声を掛けて来た。

「おーい!!マキ…奥さん居るぞ!!」

和寿先生は奏弥さんを呼んだ。

******
私達は一緒のテーブルでランチする羽目になった。

「毎年恒例の桜見会は今年はしないのか?マキ」

「え、あ…そうだな…」

毎年、桜の季節になると奏弥さんや和寿先生を中心に仲のいい若手のドクター同士で集まり、花見をしていた。

「サクラの見ごろ終わるぞ…」

「・・・今は花見どころじゃない…」

「…産科に新しい部門が出来るんだったな…」

「あぁ」

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