相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
意識を回復させた高屋夫人は車椅子移動も可能となり、NICUに来て、初めて雅君と対面した。

どんなママでも保育器の中の我が子と対面すると申し訳なさそうな表情を浮かべ、涙ぐむ。

高屋夫人も同じだった。

車椅子を押していた奏弥さんが当時のコトを思い出して、口にした。

「此処に搬送されて来た時は、君は心肺停止で胎内の赤ちゃんの心拍も辛うじて動いている感じで瀕死の状態だった。でも、それでも俺は諦めなかった…奇跡と母である君の力を信じて…」

奏弥さんの言葉通り、そうだった。

高木先生が諦める中、奏弥さんは諦めなかった。

彼とってあれは一種の賭けだった。

最悪、母子と共に亡くなっていた可能性の方が大きかった。

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