相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
「自分はハイリスク妊娠専門の産科医になったのにな・・・二人が子供を授かるには体外受精しかない。昔よりも妊娠率が上がったとは言え・・・君の卵子は凍結卵子だ。他の体外受精よりも妊娠率は下がる。それに妊娠を機に白血病が再発する可能性も無いワケじゃない」

「・・・そうですね」
でも、あれから十五年経っている。
経過観察を今年で終えた。再発の可能性は心配ないと思っていた。

「…奏弥を産んで母さんが亡くなっているし…ヤツを説得するのは至難の業だな」



京弥さんは缶ビールを飲み干した。

「二本目持って来ましょうか?」

「いや、いいよ…」

インターホンが鳴った。

「ピザだな・・・」


「私が出ます…」


「そう?サンキュー」


私の凍結された卵子は三つ。チャンスは三回あるけど、彼を説得しない限り…無理だった。


< 198 / 230 >

この作品をシェア

pagetop