相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
「はい、佑介様」

俺が描いた美亜さんの似顔絵を佑介様に渡した。
髪は肩よりも少し長めで、セピアブラウンのカラーリング、目はクリッとした愛らしい瞳に鼻筋も通っていて、色白で、白いドレスがとても似合っていた。

「槇村君、絵上手いね…」

「本当だ…可愛い子だね…」
佑介様と院長は俺の描いた美亜さんを褒めちぎった。

「司には勿体ない・・・」

「・・・佑介兄さん…まさか…自分の愛人にしようと企んでる??」

「いや・・・別に…」

「その顔は企んでるね…」

「槇村君…この絵貰っていい??」

「いいですよ…どうぞ…」

「伊集院家の家宝にするぞ・・・」

「それは嬉しいですね…」

伊集院家の当主であり、警視総監の佑介様。

お調子者の院長と同じく、豪快な性格で周りを振り回す人。

だから、極力関わりたくない。
「用は済んだな…帰るぞ…マキ」
「そうだな・・・じゃ俺達は失礼します…」

と俺とカズは慌てて院長室を出て行った。
< 209 / 230 >

この作品をシェア

pagetop