相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
「じゃあな…」
カズが先に下りて、脳外科医局に行ってしまった。

俺はそのまま残り、産婦人科医局のフロアまで下りた。

医局に戻ると兄貴の姿が見えた。

「何処に行っていたんだ?奏弥」

「院長室だ…」

「へぇー…院長室か・・・」

先月から兄貴も隔週の水曜日と土曜日の午前中、不妊外来の担当医として東亜に出入りしていた。

九月には不妊や体外受精専門に扱う『槇村レディースクリニック東京』が銀座の一等地に開院する。

都内から横浜の病院に足を運ぶ患者さんも多く、その患者さん達の希望で都内に病院を構えるコトになった。


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