相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
「書けば、いいんだろ…書けば…」
と奏弥さんはやりきれなさそうな顔で名前を書き込んだ。

愛してるなら、離婚する必要ない。

私も奏弥さんと同意見だった。

「叔母さんは離婚…父さんと兄貴は死別…何だか…俺達だけだな…夫婦揃ってるのは…」

「遥も」

由夢に急かされ、私の名前を書いた。

「印鑑はどうしようか?」

「こっちで適当に押しとくわ…槇村の印鑑は沢山あるし…」

由夢は離婚届を持って、先に出て行った。

「明日で終わりなんだな…」

「お前…辻教授と喧嘩したらしいじゃん」

「別に…アイツが横暴なコト言うから…言ってやったんだ・・・」

「・・・俺が居なくなったら…どうするんだ?お前…孤立するぞ…」

「由夢が居る」

「由夢も退職するかもしれないぞ…」
「えぇ~っ!?マジでそれは勘弁して欲しい…二人も産科医抜けたら、ウチはどうなるの??」

「お前が居るだろ?」

「俺は…」

奏弥さんは頭を抱え込んだ。
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