相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
彼がプロポーズに選んだ場所は自殺の名所で有名な「東尋坊」
日本海の越前蟹を堪能した帰り道、東尋坊に立ち寄った。
彼は突然、切り立った岩場に向かって歩いていく。
私は足が竦み、彼の居る場所には行けなかった。
そして、彼は私に向かって叫んだ。
「遥、俺は君を愛してる!!結婚してくれ!!」
プロポーズする場所には程遠い場所。
「プロポーズするなら、もっと場所を選んでください…奏弥さん」
「・・・俺は俺の命を懸けて、遥を愛してる…そう言いたいんだ!!わかる?」
海から吹き上げる風に煽られ、彼が足許を崩し、その場に倒れ込んだ。
一瞬私の背筋に冷たい戦慄が走った。プロポーズってもっと普通はロマンチックなはず。
嬉しさよりも恐怖心がこみ上げた。
「貴方のプロポーズ受けますから…早く戻って来て下さい!!死んじゃいますよ!!」
「本当に?俺と結婚してくれる??嘘じゃない?天に誓える??」
「貴方と結婚しますから…こっちに来て…奏弥さん」
「本当に本当??」
彼は執拗に念を押した。
「嘘は言いません。だから…こっちに来て下さい!!」