相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
その晩、俺は兄貴に電話を掛けた。

――――どうした?奏弥

いつもと変わらない横柄な声の兄貴。
「一つ訊きたいコトがある…」

――――お前の訊きたいコトは高坂先生のコトだろ?


「そうだ・・・結香さんは高坂先生の兄の恋人だったのか?」

――――まぁな…俺が結香を高坂先生の兄から寝とって妊娠させたんだ…

「兄貴・・・」


高坂院長の言葉通り…兄は酷い男だった。

「じゃその兄が自殺したコトも…」


――――知ってる…まぁ、結局、結香も死んだ…二人は天国で結ばれたワケだ・・・


「・・・人の女には手を出さない…それは兄貴のポリシーじゃなかったのか?」


――――だから?結香がスキだったんだ…結香は俺の幼なじみだ・・・


兄貴は開き直っていた。

「…最低だな…」

――――和香が泣き出した…切るぞ
と言い捨て、兄貴は通話を切った。



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