相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
高坂先生も椅子を下ろして、分厚い本を捲り、閲覧を始める。

京弥さんのコトをクズだと言う意味は分かった。

高坂先生の本のページを捲る音だけが隣から聞こえて来る。

低めのパーティションで仕切られた自習室のデスク。

「・・・君の夫さんに会ったよ…」

「え、あ…そうですか…」

「見た目はチャラいけど…産科医としての腕はいいみたいだね…」

確かに髪は茶髪。見るからに軽薄なイメージがある。
でも、私は奏弥さんの本当の姿を知っている。

茶髪にしたのは黒髪の京弥さんと被らない為。
一人になった今も茶髪だけど。
当面黒に染める雰囲気はない。

「・・・あ・・・京弥さんとお兄さんのコト訊きました」

「そう…君は自殺した兄が馬鹿だと思ってる?」

「えっ!?」

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