相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
高木先生の隠し玉はお兄さんの自殺だった。

私は開いてはいけないパンドラの箱を開けてしまった。

「いえ…私は…」

「君を責めても仕方がないと思っている。悪いのは槇村京弥だ…」

「…まぁ、俺も一人の女の為に自殺するなんて…兄も愚かだと思ってるが…でも、俺にとっては自慢の兄だった。外務省の官僚となったエリートだったから…」

「外務省の官僚だったんですか?」

「あぁ」

「そろそろ…戻らないと…」

私はスマートフォンの覗き込み、時間を見た。

「休憩は終わりなので、帰ります」

「…君を見れば見る程…あのクズの弟には勿体ないと思うんだけど…」

高坂院長の熱い眼差しに戸惑う。
「すいません…お先に失礼します」

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