敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい

なりふり構わずに想いを告げられ、胸がぎゅっと締めつけられた。

私に抱きつく仁くんに、体が震える。仁くんにこんなふうに求められてうれしくないはずがなかった。

「美玖にとってはお試しでも、俺はずっと本気だった」

「仁くん……」

「いきなり実家に帰った理由はなんだ？」

静かに問われ、私は雪村さんに仁くんの過去の女性関係を聞いたと打ち明けた。

だからこれ以上仁くんに惹かれる前に別れたほうがいいと思ったのだと口にすると、仁くんは眉をひそめる。

「俺がその雪村という女性から美玖に乗り換えた？　交際中も浮気？　女性関係のトラブルが絶えない？」

みるみるうちに仁くんの眉間のしわが深くなっていった。

めまいすら感じているのか、目を閉じている。

「よくもそこまで根も葉もないことを」

「根も葉もないの？」

「ああ。その話は全部嘘だ」

「えっ」

「そもそも俺はその雪村という女性に心当たりがない」

全否定され、私は固まった。

では、私が会ったあの女性はいったい何者なのだろう。