敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
仁くんは面食らった顔になる。

「なんの話だ?」

「この間私が拒んだら、無理強いしないってすぐに止めたでしょ? 最初の頃は嫌だやめてって訴えても聞いてくれなかったのに」

「あの日は美玖が本気で嫌がっていたから止めたんだろ。そもそも飽きるほど抱いていない」

さらっと口にされ、私は目を白黒させる。

「な、なに言ってるのっ」

「そうだろ? 今だって十日ぶりくらいか?」

「数えないでっ」

淡々と振り返られると私だけが恥ずかしかった。

じゃああれも私の早とちり?

仁くんはまだ私の体も求めてくれているの?

仁くんは大きな手で私の頬を包み込む。

「美玖が好きだ」

「……私も仁くんが好き」

ぬくもりに安心し、仁くんの手に手を重ねた。

自然と溢れ出た言葉だった。

「やっと言ったな」

「え?」

「ずっと美玖が言葉にしてくれるのを待っていた」

仁くんは私と額をくっつけて、視線を絡ませた。

< 121 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop