敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
「仁くん、もう、して……っ?」
消え入りそうな声で哀願すると、仁くんは顔を上げた。
形のよい唇がしっとりと濡れていて、私はゾクゾクしてしまう。仁くんの男っぽい表情を見ているだけで頭の中が溶けそうだ。
ヘッドボードの引き出しから、仁くんは避妊具を取り出す。
仁くんは今までそれを着けなかったことがない。
「仁くん……」
「ん?」
「たとえばだけど、三カ月の間に赤ちゃんを作って、離婚を阻もうとは考えなかったの?」
赤ちゃんを授かっていたら、それがストッパーになっただろう。私は一瞬でも離婚を視野に入れなかったはずだ。絶対に私と別れないつもりだったのなら、そういう方法もあったのではないかとふと思った。
「まったく考えなかったと言えば嘘になる。美玖の性格上、子どもができれば自分が我慢をしてでも俺との生活を続けようとするだろうから。だが俺は子どもを利用するようなことはしたくなかった。美玖にも妊娠を理由に俺を選んでほしくなかった」