敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
「はい、元気です。お義母さんもお変わりなさそうでなによりです」

用件がわからず戸惑いながらも微笑み返した。

両家の両親が揃ってやって来るなんていったい何事だろう。

父がキッチンカウンターに、大きな風呂敷包みを置く。

「なにそれ?」

「ちょうど夕飯時だから寿司を持ってきた。みんなで食べよう」

「え、お寿司?」

風呂敷の中身は木の箱に入った高級寿司だった。

私は母に状況の説明を求めて視線を送る。

「実はね、一昨日美玖が仁くんと帰ったあと、万智子ちゃんに電話したの。そしたら万智子ちゃん、ふたりが離婚するんじゃないかって落ち着かなくなっちゃってね」

母はためらいがちに明かした。

万智子ちゃんとは仁くんのお母さんのことだ。

「今朝、俺からお義母さんに電話を入れさせていただいたでしょう?」

仁くんが心配をかけた謝罪と、もう大丈夫だという報告を兼ねて私の母に電話したのだ。

「うん、そうなんだけどね、万智子ちゃんが『仁の言葉なんか信用できないわ。私たちの目で直接確かめなきゃ』って言い出してね」

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