敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
「仁くんってなんだかんだ、両親に優しいよね」

いきなり押しかけ自由に振る舞う彼らに対し、少しも煩わしそうではない仁くんにキュンとした。

「美玖にも優しいだろ?」

「私には優しいっていうか……甘い?」

クールなパブリックイメージが吹っ飛ぶくらい、夫婦になってからの仁くんは私に甘々だ。

「そういえば、俺がほかの女性から美玖に乗り換えたとか、交際中も浮気していたとか、女性関係のトラブルが絶えないとか、あれが全部嘘だと一発で撥ねつけられる理由があった」

不意に仁くんがその話を持ち出した。

「え?」

「俺は美玖が初めての女だ。今までほかの女性と付き合ったこともない」

耳もとでささやかれ、一瞬私の時間が止まる。

……え?

「えぇー!?」

思わず大声で叫んでしまった。

「なにごと?」

両親が一斉に私たちに視線を向けた。

私はなんでもないよと笑ってみせて、すぐさま仁くんに耳打ちする。

「私が初めて?」

「ああ」

「嘘でしょ? 千人くらい抱いてそうな顔してるのに」

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