敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
「美玖、俺はその花でいい」

甘いものが苦手な仁くんは、ケーキに飾られている花を指定した。それはエディブルフラワーという、食べられる花らしい。こちらではポピュラーなもののようだ。

『ミク、いいか。フォークにケーキを山盛りだ』

『ジン、顔面キャッチだ』

でも友人たちは私たちをそうけしかける。

『俺にコントをさせる気か』

仁くんは友人たちに突っ込んだ。

私は笑いながら、友人案を採用する。

「おい、美玖」

多量のケーキをすくった私に、仁くんはたじろいだ。

「仁くん、あーん」

私は仁くんの口もとにフォークを近づける。

やむを得ず大きく口を開いた仁くんだったが、それでも頬に生クリームがついてしまった。

「甘……」

顔をしかめた仁くんに、笑いの渦が巻き起こる。

「仁くん、甘いもの食べたのっていつぶり?」

「覚えていない」

それくらいひさしぶりだったのだろう。

「ごめんね、大丈夫?」

ちょっと調子に乗ってしまったなと、私は仁くんに詫びた。

< 45 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop