敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい

「美玖があの男と切れたのがうれしいんだよ。俺は前からあいつがろくな男じゃないと知っていたから」

「えっ！」

不意に仁くんが衝撃の事実を口にし、私は目を瞬かせた。

「二週間くらい前だったか。あいつが美玖でも美玖の友人でもない女性と路上で抱き合っているところを見かけた」

「は……？　前野さんはあかり狙いなんじゃなかったの？」

思わず仁くんに質問を投げた。

仁くんは私を通じてあかりと面識があるから、見間違いではないはずだ。

「ただの女好きなんだろ」

どうでもよさそうに仁くんは答えた。

まさか前野さんがそんな軟派な人だったなんて。

「どうしてすぐに教えてくれなかったの？」

知っていれば振られる前に私から前野さんに別れを切り出していた。そうすれば心の傷は少しくらいましだったかもしれない。

「美玖が自分で頭を打って、美玖には俺しかいないと思い知らせたかった」

「なにそれ……」