敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
『こんばんは』

すると後ろから誰かに英語で声をかけられた。

振り返ると、見知らぬ外国人男性が白い歯をこぼしながら近づいてくる。

年齢は三十代半ばくらいだろうか。ウエーブがかかったショートの金髪に青い瞳、背が高くてスーツが似合う厚い胸板をしている。とても紳士的な雰囲気の人だ。

客船のスタッフではなく、同じクルーズに参加している方だろう。

『こんばんは』

『このクルーズには恋人と?』

尋ねられ、笑顔を向ける。

『夫とです』

『そう。僕も婚約者と乗船したんだけど、彼女おいしい料理に夢中でね』

どうやら婚約者の女性にかまってもらえず、ひとりで甲板に出てきたようだ。

ジョシュアと名乗った男性は話し相手を探していたらしく、自然な動作で私の隣に並ぶ。

『ニューヨークへは旅行で来たの?』

『夫の海外出張に同行してきたんです』

『そうなんだ。で、こんなに美しい妻をほったらかしにして、彼はどこへ?』

『仕事の電話がかかってきて、少し離席していて……』

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