敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
こんなところでトラブルになるのは避けたい。

けれど仁くんはジョシュアを睨みつけたままだ。

どうしよう。このままじゃ本当にまずい。

『ジョシュア? ここにいたのね』

するとそのとき、アッシュブロンドの豊かな髪をなびかせて、ロングドレス姿の女性がやってきた。

ジョシュアは救われたように顔を輝かせ、彼女を抱き寄せる。

『僕の婚約者だよ。美人だろう?』

『まあ、ジョシュアったら』

あまりにも調子のよいジョシュアと無邪気に喜ぶ女性の姿に、私も仁くんも毒気を抜かれてしまった。

なんというか、ばからしくなった感じだ。

唖然とする私たちを残し、ジョシュアは婚約者の女性を連れてそそくさと船内に入っていく。

仁くんはため息をついた。

「節操のない男だな。美玖、大丈夫か? 本当になにもされていないな?」

「うん、大丈夫。でもそいつ軟派男だよって、彼女に教えてあげたほうがよかったのかな?」

私は冗談めかして尋ねた。

「それはあいつらの問題で、教えてやる義理もない」

「あ。ひさしぶりの厳しい仁くんだ」

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