敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
「俺がキスするのは生涯美玖だけだ」

私の唇を、仁くんは奪うように塞ぐ。風は冷たいのに、仁くんの唇は焼けつきそうなくらい熱かった。


ニューヨークで過ごす最後の日がやって来た。

昨夜ホテルに戻ったのは午後十時半頃だったが、なんだかあまり眠れなかった。

今日はホテルの近くでゆっくりと過ごす予定だ。家族や友人へのお土産も買わなければいけない。

朝からセントラルパークを歩いたり、ロックフェラーセンターに行った。

お昼からは仁くんに連れられて、五番街へも足を運ぶ。

超一流ブランド店や高級デパートがずらりと並ぶ五番街は、映画などにもよく登場するショッピングエリアだ。

ジュエリーブティックの四階にあるカフェでお茶をしてから、一階の煌びやかなショーケースを眺めていると、仁くんが「気に入るものはあるか?」と声をかけてくる。

「え? そんな目で見てないよ」

ただきれいだなあと癒やされているだけだ。

「そんな目で見ろよ。買ってやる」

「えっ、いいよ。この間ピアスを買ってもらったし」

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