敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
あのピアスも高かったのに、ここは最低でもあの五倍以上はする店だ。正直ジュエリーにそんなにお金をかけられない。

心底ほしくないのをアピールすると、仁くんは嘆息を漏らす。

「美玖は欲がなくてつまらないな。ジュエリーがいらないならなんだ? 時計か? 靴? バッグ? 洋服?」

私が反応に困っていると、仁くんはぐいっと私の手を取り歩き出した。

「わっ、なに?」

「決めた。全部だな」

「えぇっ?」

声を上擦らせる私をよそに、仁くんは本当にそれらを片っ端から五番街で揃えていく。

「仁くん楽しそうだね」

仁くんを止められず、私は着せ替え人形のようになりながらつぶやいた。

仁くんがプレゼント魔だったなんて知らなかった。

「美玖がうれしそうにしてくれると、もっと楽しいんだが」

「もちろんとってもうれしいよ? でも、そんなに張り切らなくていいよ」

新婚旅行に行けていないお詫びだと言われたけれど、私には贅沢すぎる。

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