敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
それに私たちは初夜からベッドを共にしているけれど、実はまだ最後までしていないのだ。

だから仁くんの仁くんを触るどころかきちんと見たこともない。そんな状態なのに、そういういじり方をされるのは心外だった。

「ねえ、仁くん……」

「ん?」

「だったら今から仁くんのも撫でようか……?」

やる気満々で誘ったわけではない。

いつも一方的に私ばかり感じさせられるのは嫌だったのだ。

私はなんでも相互的な関係がいい。

「焦らしすぎたか?」

仁くんはつぶやき、私を仰向けに押し倒した。

「え?」

「美玖の愉快な誘惑に興奮した」

「ちょっ……愉快ってなによっ」

こっちは渾身の誘い文句のつもりだったのに。

「っていうか、愉快ならせめて笑ってよ、涼しい顔で返されたら恥ずかしいでしょっ」

とんでもない発言をしてしまった気がしてきて、私は恥ずかしくてたまらなくなる。

「もういいよ。寝よ」

私は仁くんから顔を背けようとした。

けれどそれよりも先に仁くんが私に噛みつくようなキスをする。

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