敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
仁くんは私にはもったいないくらいの人なのに、毎日惜しみなく愛情を注いでくれる。ニューヨークで身も心もひとつになってからは特に濃密な触れ合いも加速していた。

体の内側から満たされる心地よさを知ってしまった私は、きっともう戻れない。

「あー、なんか思い出した? 美玖ニヤニヤしてるー」

あかりに冷やかされ、私はかあっとなる。

「ベ、別になにも」

「でもじゃあ美玖も仁さんを好きになったってことなんでしょ?」

「……うん」

素直に肯定した。

日々仁くんを好きな気持ちが強くなって、私は今初めて心の底から満たされているのかもしれない。

『美玖を幸せにできるのはこの世で俺だけだ』――プロポーズされたときに言われたあの言葉は、本当だった。

「あんな素敵な人、好きにならないほうがおかしいもんね。二十八年間もそばにいたのに、ほんの数カ月前まで意識してなかったほうが不思議だったし」

「そうだよね……」

たしかに今となっては私もそう思う。

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