敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
「社内では、前野さんにはＤＶ彼女がいるか、その筋の人の女に手を出そうとしたとかでボコられたんじゃないかって噂になってる。なんにせよ、前野さんの女癖の悪さは男性社員の間では評判だったらしいから、女がらみだろうって」

まさかそこまでだらしない人だったなんて、さすがに驚愕せずにはいられなかった。

私は前野さんをなにも知らなかったのだと改めて痛感させられる。

それなのに好きだなんてよく言えたものだ。

いや、知らなかったから好きだと言えたのだろう。

「でも私、前野さんが美玖を傷つけたのが許せなかったから、ちょっといい気味よ」

あかりは屈託なく笑った。

私はいい気味だとは思わなかったけれど、前野さんに同情もしなかった。

前野さんの近況を聞いたことで、私はもう心になんの引っかかりもなく前に進めているのだと気づく。

全部、一途に愛してくれる仁くんのおかげだ。

「ありがとう、あかり」

そして私を思いやってくれる優しい友人がいて、本当にありがたかった。


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