敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
翌日の夜、大きなボストンバッグを抱えて実家に帰ってきた私を、両親は驚愕の表情で出迎えた。

「美玖、その大荷物はなに? いきなりどうしたの?」

母はあからさまなほどにうろたえた。

父は私にどう声をかけていいのかわからないようで、瞬きも忘れて固まっている。

これはまずい。どうやら一瞬で私と仁くんになにかあったと感づいたらしい。

「ただの着替えだよ? 仁くんが海外出張に行ってるからその間に少し帰省しただけ」

もしかすると離婚になるかもしれないなんて到底言い出せる雰囲気ではなく、明るく振る舞った。

すると両親は胸を撫で下ろす。

「もう、びっくりさせないでよ。仁くん、お仕事忙しいのね」

「うん。一、二カ月に一回は海外出張があるの」

私は母と話しながら、ボストンバッグをリビングのソファの上に運び込む。

「美玖、晩ごはんは食べたのか?」

父に訊かれ、私はかぶりを振った。

「ううん、まだだよ」

「なら久しぶりに三人で食べよう」

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