優しい幽霊さん
僕が屋上から足を一歩踏み出そうとした刹那、「ストップ!ストップ!何してんの!」と聞き覚えのない女子生徒の声がした。そしてふわりと体が抱き締められる。でも、全然温かくなくてむしろ冷たい。
僕が振り返れば、ウルフカットの明るい髪をした女の子がニコニコと笑っていた。着ている制服はうちの高校のものじゃない。さらに、彼女は空中に浮いていて、半透明に透けていてーーー。
「君、誰?幽霊?」
僕が思ったことを口にすると、女の子は「うん、正解!」と天真爛漫に笑う。
「あたしは淡藤(あわふじ)ミリ!君の心臓の元々の持ち主で〜す!」
幽霊独特の不気味さとか、怖さとか、そういうのを全く感じさせない明るさに僕は「えっ?」と戸惑うしかなかった。
その後、僕は飛び降りようとしていたのにミリさんに引っ張られてフェンスの向こう側に戻されてしまった。自殺は失敗。僕は絶望してミリさんを見つめる。
「何で邪魔するの?僕はこれから死ぬところだったのに!」
「お願い!今日一日は勘弁してほしいの。あたし、心臓の持ち主を見に行くって理由で天国からこっちに来ることを許可してもらったんだよね。だから、君が死んじゃうと強制的に天国へ戻されちゃうんだ」
僕が振り返れば、ウルフカットの明るい髪をした女の子がニコニコと笑っていた。着ている制服はうちの高校のものじゃない。さらに、彼女は空中に浮いていて、半透明に透けていてーーー。
「君、誰?幽霊?」
僕が思ったことを口にすると、女の子は「うん、正解!」と天真爛漫に笑う。
「あたしは淡藤(あわふじ)ミリ!君の心臓の元々の持ち主で〜す!」
幽霊独特の不気味さとか、怖さとか、そういうのを全く感じさせない明るさに僕は「えっ?」と戸惑うしかなかった。
その後、僕は飛び降りようとしていたのにミリさんに引っ張られてフェンスの向こう側に戻されてしまった。自殺は失敗。僕は絶望してミリさんを見つめる。
「何で邪魔するの?僕はこれから死ぬところだったのに!」
「お願い!今日一日は勘弁してほしいの。あたし、心臓の持ち主を見に行くって理由で天国からこっちに来ることを許可してもらったんだよね。だから、君が死んじゃうと強制的に天国へ戻されちゃうんだ」