優しい幽霊さん
アイスクリームを食べた後、ミリさんは午後六時を過ぎたら天国へ帰らないと行けないと話し、最後に夕日を見たいと言ったので展望台へ向かった。

歩いている時、心臓の鼓動を嫌でも感じた。この心臓の鼓動は、彼女の鼓動なんだ。僕は隣をふわふわ浮いているミリさんを見る。ミリさんはずっと笑っているけど、今は少し悲しそうだ。きっと、僕に会う前に友達の様子とかを見に行って、そのことを思い出しているんだろう。

展望台からは、オレンジに染まる街と大きな夕日がはっきりと見える。沈むまで、ここで見ていることは自然と決まった。

「ねえ、ミリさんは生きている時、どんな人だった?いくつ?」

僕が訊ねると、「レディーに年齢を聞くなんて失礼だよ?」と笑いながらもミリさんは答えてくれた。

「普通に生きてきたよ。お父さんとお母さんは会社に勤めてて、歳の離れた弟と妹がいて、旅行行くのが好きだったな〜。中学ではソフトボール部に入って、三年生の時はキャプテンをさせてもらったんだ。そんで、高校生になったんだけどーーー」
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