お飾りにしか⋅⋅⋅なれない

···復帰に向けて


やはり、歩く事は無理だったが
「食事をとり、筋肉をつけたら
問題ないよ。」と、先生に言われて
食事も、リハビリも頑張った。

両親も史織も
私を支えてくれながら
喜んでくれた。

夜は、毎日
私の秘書の三輪さん
史織と史織の秘書の森山さんと
父と父の秘書の花岡さんが
病室に来て話をする。

初めて秘書の方々とお会いした時に
私の方から名前を伝えると
二人ともビックリされていた。
それは、そうだ。
初めて会ったのに
二人の名前を私が知っていたのだから。

そう。
私にずっと話しかけてくれていた
史織の言葉は、私に届いていた。
専門用語とかは理解できてないが。

史織は、
「⋅⋅⋅⋅⋅紗雪様には、届いていると
思い、いえ、願いながら
話してました。
でも、私の愚痴も聞かせてしまいまして
申し訳ありません。」
と、言うから
「史織が、父の代わりに
頑張ってくれているのが
すごくわかりました。
本当にありがとう。
それから、三輪さん森山さん
なんにもわからず、出来ない
私ですが、宜しくお願い致します。」
と、二人に頭を下げると
二人とも、慌てて
「「いえ、どんでもございません。
こちらこそ、宜しくお願い致します。」」
と、一度に二人で言うから
笑ってしまった。

そんな紗雪をみて
二人は、あまりの美しさに
驚きを隠せなかった。
紗雪は、ん?と思っていたが
史織は、
「紗雪様は、普通にしていても
美しいのに
微笑まれると絶大となります。」
と、言うから
「あら、史織。
    私は普通よ。」
と、言う紗雪に
三人は、驚きと
そんな三人と紗雪は笑っていた。

父、卓も花岡も
紗雪の姿に嬉しさが込み上がっていた。

元々、頭の良い紗雪は
大体の仕事の内容は把握した。

夜、史織と父と共に
「LA・fonte」を見学に行った。

立花デパートとは
まったく違い
驚きと共に想像以上の建物に
言葉が出なかった。

史織から
安藤先生?とお友達の
話しは聞かせてもらった。

安藤先生には、お礼の礼状と
意識が戻った報告と
お礼も伝えた。

門田から解放して頂いただけでなく
あの人達のお子さんの除籍や
慰謝料まで。
史織にも、本当にお礼を伝えるだけでは
おさまらないぐらいだが
海外にいる安藤先生には
御礼状以外、なす術はなかった。

オープンまで
残された時間はほとんどなかったが
紗雪は、自分の出来ることを
必死でやり
父、卓と史織は、それを支えてくれた。

母は、立花の家と紗雪の身の回りの事を
毎日、楽しそうに行っていた。

紗雪は、退院したら
立花の実家に史織と戻る
その準備も幸子が行っていた。

オープン前日には
紗雪と史織のドレスも届き
最終の試着を行った。

当日紗雪は、大事をとり、
車椅子で出席をする事になっていた。
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