お飾りにしか⋅⋅⋅なれない
···大切
到着ゲートを出ると
満面の笑みで史織がいてくれた。
「紗雪様、お帰りなさい。」
史織の笑顔が
とても嬉しく、心が温かくなり
「⋅⋅⋅⋅史織、ただいま。
お迎え、ありがとう。」
「私が、早く紗雪様に
お会いしたかったから。」
と、言ってくれる史織に
「うふっ、ありがとう。」
史織と仕事や両親の話をしながら
空港を後にした。
明日の午後からは、
史織が休みを取る。
要らないと言う史織に
史織が休まないと
私も休めない。
と、半ば強制した。
本当に、史織には、
感謝の言葉しかないが
それだけでは、すまされない
私に、とって
大切で大事な人。
悠希さんと同じ位
いや、悠希さんより上かな
と、思う自分に
悠希さんに心の中で謝る。
そんな私を史織が
「紗雪様?」
と、心配するから
首をふりながら
「史織と悠希さんの事を
考えていただけよ。」
「えっ、私ですか?」
と、びっくりしている史織に
「そうよ。史織は私にとって
とても大切な人だから。」
と、伝えると
史織は、ハッと顔を上げ
私を見て瞳に涙をためながら
「⋅⋅⋅⋅⋅さゆ⋅⋅⋅きっ⋅⋅⋅さま」
と、言う
「ありがとう。史織。
本当にありがとう。
あんな事をした私を
見捨てずに、ずっと、そばに
いてくれて。
つらい事、苦しいこと
沢山あったはずなのに。」
と、言うと史織は首をふりながら
「紗雪さまが、いてくれたから
頑張れました。
紗雪様、元気になられる事だけを
願ってきました。
それが、私の原動力ですから。」
と、言ってくれる史織に
私も涙が溢れた。
行き交う人が
女性二人が歩きながら
泣いているのを
ぎょっと、した顔で
通りすぎで行くから
史織の二人で笑ってしまった。