お飾りにしか⋅⋅⋅なれない

史織⋅⋅⋅side


朝、起きて
紗雪様の部屋へと向い

紗雪様の部屋の襖を
« トントン »と。

いつもは、返事があるのだが
今日は⋅⋅⋅⋅⋅ない。

日に日に痩せられて行く紗雪様。
起きるのもお辛いのかと
「紗雪様、入ります。」
と、声をかけて中に入ると

紗雪様の部屋に一つだけある窓が
開いていて⋅⋅⋅⋅
少し寒いくらいの空気

「紗雪様?紗雪様?」
と、探すにしても1間しかない部屋
おトイレだろうかと
« コンコン »と。
何も反応なく
「開けます。」
と、声をかけてあけるが
だれもいない。

もちろん、お風呂場も見た。

外に出られたかな?
と、思い
外に出て建物の周りを
ぐるり·····と⋅⋅⋅⋅⋅⋅



「きゃっー!!!!
   紗雪様!紗雪様!!」


私の声に庭師のおじさんが
駆けつけてくれた。

私は、どこをうっているか
わからないから紗雪様に
そっと触れながら
名前を呼ぶ

何度も⋅⋅⋅⋅呼ぶ⋅⋅⋅⋅⋅

遠くから救急車の····サイレンが⋅⋅⋅⋅⋅


気が着くと病院で
紗雪様の処置が行われていた。

奥様は、
みっともないと
グチグチ言っている

陽大様も駆けつけて
医師に色々聞かれるが
紗雪様に接していない
この人にわかる筈がなく
「あ~、えっと」「さぁ⋅⋅⋅」「⋅⋅⋅⋅⋅んん?⋅⋅⋅⋅」
と、わからずに答えられない。

「あなた、本当にご主人なのですか?」
と、先生から呆れられていた。
その上
「あなた、奥さんにきちんと食事を
させていましたか?
まさか⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
と、言われて
「失礼な!!食べさせていましたよ。
門田家の嫁なんですから。
ただ、嫁が食べなかっただけです。」
と、奥様がかな切り声で叫ぶと
「もう少し、静かに話せませんか?」
と、奥様も先生から注意を受ける始末。

でも、私は治療にも
関わってくるからと思い
「先生、私の方からお話しします。」
と、言うと先生は、
「あなたは?」
と、訊ねたので
「はい。私は紗雪様の身の回りをする
もので、原田と申します。」
と、言うと
「そうですか、それではこちらで。」
と、言われて別の部屋へと
看護師(師長)さんと共に。

私は、先生と師長さんに
全てを話した。
食事から住まい
そして、毎日の言葉の暴力を。

涙を流しながら
でも、きちんと説明しなければ、と。
何度も詰まりながら⋅⋅⋅⋅⋅⋅

先生は、それを踏まえて
再度、診察をしてくれた。

私を、あの人達の所に返すと
大変な事になると思った先生は、
私を師長さんに任せて
「このまま、少しお待ち下さい。」
と、言った。

外では、
「どうなってるの?
なんなの?」
と、騒ぐ奥様に
師長さんが、
「ああ、うるさい」
と、言い廊下に出て
「ここは、病院ですよ。
騒ぐのでしたら、お引き取り下さい。」
と、言うと
「失礼ね。看護師風情が。」
と、言う奥様を
「母さん、やめなよ。」
と、陽大様が制すが
「まったく、あんな嫁を貰うからよ。
だいたい、あなたが、
いけないんじゃない。」
「俺にあたるなよ。
食費がもったいないと
言いだしたのは母さんだろ!!」
と、言う陽大様に
「働きもしないんだから
お腹も減らないでしょ!」
と、身勝手な事を言っているのに
気づかないのか
きいていて、こちらが恥ずかしくなる。

師長さんが、
「お引き取り下さい。
何かありましたら連絡いたします。」
と、言って二人を病院から出した。

呆れた顔をしながら
私の元に戻ってきた
師長さんに私は頭を下げた。
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