相愛カタストロフィ
────五月先輩のシャーペンを走らせる音が聞こえる。
…ここでこんな風に授業受けてるんだ。ちょっとだけ、先輩と同級生になった気分。
先輩がこんなに静かなのもレアだな。
生徒会に入ったら、今みたいに毎日は会えないんだろう。来年、先輩は受験生だし。
…私、まさか寂しいって思ってる?
そんなわけ、ない。
心の中で自問自答する。
教室に来てから十五分くらいは経っただろうか。
時々先輩が口を開いたと思えば、「新婚旅行はどこ行く?」とか「ドレスはもちろん白だけど、羽結は黒でもあり」だとか。
色々気が早いし、まず私たちは付き合っていない。
…本気で私が好きなんですか?先輩
「なあにそんな見て。惚れ直した?」
じーっと見すぎて、先輩がこっちを見る。
横顔が夕日に映えて、綺麗で見とれてたなんて言えない。
「もともと惚れてません」
「そんなに心配しなくても、後で嫌になるほど可愛がってあげるよ
って言ってるうちに終ーわった!」