相愛カタストロフィ
「羽結」
聞きなれた声が教室に響き、後ろのドアに視線を向ける。
…タイムリー
教室に入ってきたのは五月先輩だった。
「遅いから起きて迎えに来ました白雪姫」
「もう物語ぐちゃぐちゃですね
…今日は先に帰っててくださいってメッセージ送りましたよ」
「バッドエンドでも羽結とならいいよ」
「私は嫌いです」
「――噂をすれば、ね…」
そう呟いた芹はカバンを手に取り、私と先輩の横を通り過ぎる。
「じゃあ考えておいて、麻柴。また明日」
そう言って教室から出ていった。
珍しく、先輩が言葉を発さない。
いつもより顔が暗いし…何を考えてるんだろう。