相愛カタストロフィ
「…スマホ忘れた、保健室戻ろ」
手を繋がれて、誰もいないであろう静かな廊下を歩く
「五月先輩が彼女と一緒に廊下歩いてたって噂になってるらしいです。知ってましたか」
「彼女って響き最高じゃん、早くなってよ」
「…いやです」
いつも通りに戻った、かな?
着いたものの、今は会議中らしく、保健室の先生は不在だった。
おまけに保健室は真っ暗。
電気のスイッチの場所が分からないので、スマホを探すのも一苦労。
「…私、さっきの人と付き合おうと思って」
私は初めて先輩に嘘をついた。
こんな不純な関係、やめてしまったほうが良い。五月先輩といると私が私じゃなくなる。
離れられなくなる。
二人の沈黙を破ったのは17時を合図するチャイムの音。
ふいにトン、と肩を押されて、後ろにあったベッドに沈む。
なに…?
「…五月、先輩?」
すぐ目の前には五月先輩の顔。
言葉で表すならば、
無表情、冷酷。
氷みたいだな、なんて。そんなこと思ってる場合じゃないんだけど。