相愛カタストロフィ
五月先輩は優等生、しかも爽やか。
透き通った白い肌に、サラサラの黒髪、黄金比な整った顔立ち。
その上、この前の選挙で次期生徒会長に決まった。モテないわけがない。
そんな絵に書いたような先輩がいる事は噂で聞いていた。
お顔を拝見したかったけれど、普段裸眼ギリギリで過ごしている状態なので、体育館での選挙の時は、候補者の誰一人も全く見えなかった。
間違いなく、学校一有名な先輩だろう。
告白を断った回数は未知数。
実は一回だけその告白現場を目撃したことがある。
――選挙の数日後のこと。
体育終わり、貧血気味で保健室に寄ろうとした時だった。
私以外誰もいないと思っていた廊下で、話し声が聞こえた。
「ずっと好きだったの」
…こういう場面に遭遇するのは初めましてだったので、興味本位で覗いてしまったんだけど。
二人が向かい合っているのを見て、お姫様と王子様みたいだ、と思ったくらいお似合いだった。
でも告白は断ってしまったらしく、綺麗な女の人が泣きながら立ち去ったのを見てしまった。