相愛カタストロフィ
「――帰ろ、麻柴」
私の家は学校から四駅離れたところにある。芹の家は学校の最寄り駅の近くらしい。
なので、いつも一緒に帰るのは駅まで。
―――ポツポツ。
「うわ、雨」
「傘ないし、学校戻る?」
学校を出てすぐ、駅まではまだ遠い。学校に戻ったほうが濡れずに済むだろう。
「…俺ん家寄ったら?すぐそこ。傘貸すよ」
…すぐそこ?
まさか今まで一緒に帰る時、駅まで行ってここまで戻ってきてたってこと?
「どうして今まで駅まで行ってくれたの!」
「麻柴と帰りたかったから。少しでも長くそばに居たかった」
真面目な顔をして言う芹。真っ直ぐな彼から私は目を逸らしてしまう。
こんなに真剣に想ってくれてる。
なのに私は、芹に貰ってばかりで何も返せてない。
…返せない。
多分私は─────