相愛カタストロフィ



さっきからこの繰り返しだ。聞かなかったことにして、机の上に開いている日誌に集中する。



時計を見ると、短い針がもう5を過ぎていた。



外は、蒼色に紫が重なったような空が広がっている。雲も空の色に染まってとても綺麗。



暗くなってきちゃったな、早めに帰らないと。





「ねえ羽結ちゃん?」



聞こえない。
それより、なんで私の名前知ってるんだろう。



次期生徒会長だから?



〈今日は体育祭の準先輩〉



まだ半分も書いていないのに、この男の所為で書いては消してを繰り返している。



思っていることが文字に出ちゃうこと、よくあるよね。



だって仕方ない。こんな顔の整った人に告白されるなんて。



本気かどうかはまた別として。



こんな人間国宝、至近距離で見られません。





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