もう二度と恋なんてしないと思っていた
「家の中では呼んでよ…ちょっと寂しいよ」
「うん…そっちゃんごめんね。」

サラサラの金色に染まる髪をフワッと撫でると嬉しそうに手に擦り寄ってくる。

…わんちゃんみたい、
クスッと笑ってしまいそうになったがパッと目に入った時計に現実に戻される。

「そっちゃんそっちゃん!時間!もう私いかないとっ!」

今度こそ彼のそばから離れて鞄を掴み取る

「家出るときの戸締りよろしくね!」
「わかってるよ、麻友こそ飲み会終わったら連絡しろよ!」
「うん。わかったよ。」
「絶対だからな!いつも忘れるんだから」
「ごめんね!今日は忘れずに連絡するから!」

ヒールを履く私の後ろでまだまだ文句がありそうな彼の頬にキスを残す。

「いってくるね。」
「っ〜いってらっしゃい、」

少し赤くなった彼の顔に満足して玄関を開けた。
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