もう二度と恋なんてしないと思っていた

「昨日も帰ってきてなかったんだ…」

昨日の夜机の上に用意してあったご飯はそのままの状態で残っている。

ドラマの撮影が始まって1か月経つだろうか。

もうずっとすれ違いの毎日が続いていた。

だんだんと連絡も返ってこなくなり、ここ1週間は既読すらつかなくなった。

体調は大丈夫?ちゃんと毎日食べてる?しっかり寝てるのかな?

そんな心配ばかりでもう日課になってしまっている作り置きご飯をゴミ箱へと流す。

ふぅ、仕事の準備しなきゃ

お皿を洗い終わり手を拭いていた時

…ガチャ

「そっちゃん…?」
「あ…まだいたんだ。」
「 え…?」
「ごめん、仕事に行ってるかと思った」

久しぶりに、1ヶ月ぶりに会った彼はすごく疲れた顔をしていて私の目も見てくれなかった。

「もうちょっとで出るよ…そっちゃんは今日なんじ「ねぇ」」

今まで聞いたこともない彼の低い声にビクッと体が震える。

「俺疲れてるんだけど」
やっと目が合った。でもその目は今まで見たこともないくらいに冷たくて凍りついていた。


「っ、そうだよね…ごめんなさい」





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