Tear Flowes〜We are losers〜

「どうしたらいいのかしら……」

「とりあえず、近付かないように言ってきます」

エヴァンは立ち上がり、足音のする方へと歩いていく。爆弾を仕掛けようとした危険人物がいるのだ。近付かせるわけにはいかない。

「すみません。ここから先へは事件が起きているので、近付かないようにしてください」

エヴァンがそう声をかけると、立派な黒いスーツを着た男性はニヤリと笑う。そして、「知っているさ」と口角を上げた。その言葉にエヴァンの中で警戒というアラートが鳴り響く。

「……知っているってどういうことですか？」

「俺がそう指示を出したからだ。俺の名前は、マーティー・ブラックローズ」

その名前にエヴァンの目が見開かれる。ずっとその尻尾を掴むことさえできなかった人物が、今、目の前にいる。

「なら、あなたも拘束しなければいけませんね」

エヴァンは彼を拘束するため、走って近付く。腕を掴み、地面に投げ倒そうとしたのだが、マーティーはニヤリと笑って何かをエヴァンの首を押し付けた。