Tear Flowes〜We are losers〜
「エヴァン……エヴァン……」

フィオナは震える足で何とか走り、エヴァンの姿を探す。もしもエヴァンに何かあったら、そう思うと胸が潰れてしまいそうになった。

頭に浮かぶのは、エヴァンと潜入調査をした日々のことや、特殊捜査チームの一員になる前のこと。感情を失ったフィオナのそばに、エヴァンだけがいてくれた。エヴァンだけがフィオナを必要としてくれた。

『愛してる』

潜入調査をしている時、一度だけ彼に言われた言葉。その言葉に心が揺さぶられ、今も胸が締め付けられている。これが何なのか、時間をかけてようやく答えを見つけつつある。あの時、エヴァンにそう言われた時、フィオナは幸せを感じていたのだ。

「エヴァン、お願い!無事でいて!」

シオンのように冷たい台の上での再会はしたくない。体が冷たくなり、硬くなり、もう二度と話せないなど、想像するだけで痛くて涙があふれる。

エヴァンやフィオナたち捜査官には、何かあった時のためにGPSを持たされている。エヴァンにもあるはずなのだが、レイモンドが確認したところ、GPSの電波が何故か受信できないらしい。GPSが使えないとなると、走って探すしかないのだ。
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