Tear Flowes〜We are losers〜
こうしている間にも、エヴァンは痛め付けられているに違いない。もしも傷だらけのエヴァンを見たら、フィオナの感情はどうなるのだろうか。今も、焦りや不安、そして犯人に対する怒りがある。その感情はどうなってしまうのだろうか。

「フィオナ!GPSの電波がようやく受信できた!」

レイモンドが言い、「どこに……どこにエヴァンはいるんですか!?」とフィオナは大声で訊ねる。レイモンドは「廃工場にエヴァンはもういないみたいだ」と言い、少し驚いた様子で続ける。

「特殊捜査チームの部屋があるあたりにいるみたいだ!」



フィオナは汗だくになりながら走り、特殊捜査チームの部屋へと戻る。走り続けているせいで肺は潰れそうなほど痛く、足もジンジンと熱を持っていた。それでも、走ることを止められない。

「エヴァン!エヴァン!」

エヴァンのことを思い浮かべ、ただ名前を呼ぶ。生きていてほしい。ただ、それだけを祈った。
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