ベールアウト
退院と同時にその店に行った。

その店はエニオアという名前のレストランで快気祝いかと考えた。

店の前には上司がいて、ココが俺のイチオシレストランだという。
そんなにうまいのかと聞くともちろんだと答えた。

出てくる料理はもちろんうまかった。
サーブをしてくれる店員にどこか見覚えがあったがとくには気にするでもなく料理を食べた。
他愛もない話をし、そういえばと上司に話始めた。
「お前に言ってくことでもないが、近々結婚することになった」と言えば、
上司は「え?お前にそんな人いたっけ?」と驚いていた。最近、上司の驚く顔が多い気がする。
俺はそんなに驚かせるつもりもなく、別に結婚をしてもおかしくないだろう。といった体で話していた。
「そっか、結局思い出せないわけね」とどこか悲しそうに。上司がぼそぼそとつぶやいた。
俺はなんて伝えればいいのよとかも言っていた気がする。
「まぁ、幸せになりなさいよ」なんて声をかけられたが、
幸せにしたいと思ったからこそ結婚するのであってお前にそんなことを言われなくてもと思った。
< 5 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop