一夏だけじゃ、だめ。
好きな女の子










「見ろよ、花火大会のポスター貼ってあんじゃん」


「うわー、やめろよ。 彼女もいないのに虚しくなるだろ」



高校生3年生、1学期の終業式後の帰り道。


期末テストの結果がふるわず、恐らく補習が確定している俺への当てつけのように、公民館の掲示板にそれはデカデカと貼ってあった。



……そんな、嫌味のこもったポスターであって堪るかよ。


心の中で突っ込むが、盛り上がる友人たちは俺を見てニヤニヤと笑いかけてくる。



「おまえ、誘わなくていいのかよ?」


「毎年玉砕(ぎょくさい)してんじゃなかった?」


「だって、高嶺の花だもんなぁ」



勝手なことを言ってるが、俺はそれをすべてスルーして足早に帰ることにした。



伶依(れい)!」




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