一夏だけじゃ、だめ。
ーーそれは、ふたりともアイスを食べ切った時だった。
「待って」
立ち上がろうとしたあたしは、伶依に手を掴まれた。
アイスを食べたばかりで、その手はひんやりとしている。
「っ、わっ、なに……」
コンビニ前で、女は立ち、男は座ってる、どんな2人組に見られるんだろうか。
あたしをじっと見る伶依は、必然的に上目遣いになっていて、ドキッと心臓が跳ねる。
「あの、さ……」
「ん?」
「どうしても、言わないといけないことがあって」
「な、なあに……?」
そんな言い回し、こわすぎる。
なんだかんだケンカすることなく穏やかに過ごしてきたと思うけど、伶依を怒らせた?
……それか、彼女ができた?
彼氏がいたって伶依と過ごすことは日常だったけど、同じことを伶依に押し付けることは、できるわけがないし。
「珠璃」
その、あまりにも優しい声に、勘違いしてしまいそうになるーー。