一夏だけじゃ、だめ。
つぎの季節も
アイスを食べたらすぐに帰ろうとする珠璃に慌てて、その手を掴んでしまった。
目的が果たされてないのに、待ってくれ。
「な、なんなのもう! 気になるじゃん」
「ごめん」
「謝らなくてもいいけど……」
「………」
「だから、黙らないでよ」
咄嗟に掴んでしまった手は離されることなく、珠璃はまた隣に腰を下ろした。
両手で、俺の手を包んで、じっと目を合わせてくる。
「ほら、ちゃんと聞くから、言ってよ」
俺をドキドキさせるには十分、いや破壊力がすごすぎて、何を言うのか忘れてしまいそうになる。
しっかりしろ。
言うんだ。 ……言え!
「俺といっしょに花火大会いこう」
「……へっ」
珠璃は一瞬目を丸くしたあと、声あげて笑った。