一夏だけじゃ、だめ。
「なんだぁ、そんなこと……」
そんなことって、俺には一大事だったのに。
本当に何とも思ってない。 俺の好きな人。
「いいよ、いこう! 屋台もたくさん回りたい」
「はは、メインは花火だろ?」
「そうだけど、屋台楽しいじゃん。 付き合ってよね」
イタズラっぽく笑う珠璃に、俺は一生勝てない気がした。
どっちのほうが好きかって勝負なら、俺が圧倒的だろうけど。
「珠璃がやりたいこと、ぜんぶ付き合うよ」
今年は、忘れられない夏になりそうだ。
「ちなみに、さ……」
珠璃を花火大会に誘うミッションを達成したからか、ふわふわと浮き足立っているような感じだった。
無敵に思えてくる。 根拠もないのに。
「えー、なあに?」