一夏だけじゃ、だめ。
コンビニから家までの、通学路をふたり並んで歩く。
日が長くなって、まだまだ明るい。
「友だちとして、誘ってないから」
「…………」
「ずっと、珠璃が……」
ここで告白なんてして、いっしょに花火大会行けなくなったらどうするんだ?
なんて、考えは過った気がするけど、すぐに消えていった。
だって、珠璃の、表情が。
「珠璃、おま、顔、赤……っ」
「ウソ、違う違う! 暑いだけだってば」
「はあ、もう……好きだ」
「……へ?」
ぽつりとこぼれるように出た「好き」は、制御不可能だったみたいだ。
そして、つぎは俺が顔を赤くする番。
「花火大会で告うつもり、だったのに……」
「ふふ、じゃあ花火大会、あたしの彼氏としていってよ、伶依」
そんなのさ、ずるいじゃん。
「いいに決まってる……」
彼女には一生勝てない。
一夏の奇跡が、永遠に続け、と思った。
おしまい♡