一夏だけじゃ、だめ。
冷たい手の平
幼なじみの彼は、どこか冷めていて、名前の通りな男の子だ。
クールな雰囲気に周りは近付きにくい感じだし、あんまり恋愛にも興味がないように思えた。
モテるのに、好意に気づいてないし、きっと顔の良さも自覚してなさそう。
今まで付き合ってきた男の子たちから「あいつと一緒にいすぎじゃね?」「どっちが大切なんだよ」って、そういう類いのことを何度言われたことか。
つい先日別れた彼からは「珠璃に好かれてる気がしない」なんて、とんでも失礼な理由いわれたし。
……確かに、告白されて「お試しでもいいから」って言われて付き合った節はあったけど。
「暑いねぇ」
「……アイスでも食って帰るか」
特別講義のあと図書室にいると、暑さに弱い伶依は案の定やってきた。